鍋!こたつ!熱燗!
半纏も買ったし、準備は万端。
「今年の冬は江戸の冬ごっこがしたい」
そう言ったはいいものの………
ブラウザに表示されたamazon.co.jp。カタカタと軽快にキーボードを打つ。
『鬼平犯科帳 DVD』
「に、にじゅうよんまんえんだと……!!?」
大卒の初任給かよ。
レンタル店に行くには微妙に遠い。この際DVDを買ってしまったほうが心のもやも晴れるのでは、と考え付いたが甘かった。
「と、とにかく鍋だ!酒を飲めば気分は江戸だ!」
と、食べ物に逃げる。
私は鍋では常夜鍋が好きである。ほうれん草と豚肉の鍋だ。
ふと名前の由来を疑問に思いwikiで調べてみると、毎日食べても飽きないから常夜鍋、と出てくる。そんなことよりこれ明治以降からですね(江戸じゃねえ)
カセットコンロに一人用の鍋を用意する。この日のためにリサイクルショップで200円くらいで買った河豚の絵の描いた鍋だ。
同じ日に徳利とおちょこのセットも買った。
熱燗ってのはなあ、特に普段はやらねえな。
クックパッドを見ながら湯煎で燗酒を作る。
完全にエセ江戸である。イメージだけで進んでいる。
これできせる煙草でも出してきたら完璧かもしれないが、賃貸なので煙草は吸えない。
きせるは…持ってるんだよ…… だけどな、退去費用がこわいんだよ………
さあて鍋の湯が煮えてきた。踊る昆布。
具材は豚肉、ほうれん草、しいたけ、もやし、豆苗、油揚げ…と、好きな具材を好きなだけ。
そしてピーラーでスライスしたひらひらの人参にひらひらの大根ときたら
一人鍋パのはじまりだ。
あっさりポン酢に七味が香る。つまみにもなるし、締めにもなる。
鍋にも酒をついでやって、ほれ一献。
あとは池波正太郎なんかに思いを馳せちゃって、幸せな気分のまま寝るだけよ。
(江戸時代のこたつだったらしぬよね)